朗読ボランティア 「杜の音」 通信 (H28年 11月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
11月は、以下の5作品を朗読しました。
① 伊藤 浩 作 「帰ってきた小船」
② 小川 未明 作 「島の暮れ方の話」
③ 角田 光代 作 「口紅のとき」 より 「18歳」
④ 角田 光代 作 「口紅のとき」 より 「47歳」
⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」
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① 伊藤 浩 作 「帰ってきた小船」 (朗読:蓬田 則子さん)
東日本大震災から5年の3月11日。
津波で漂流し発見された、石巻市雄勝町波板の和船 「第2勝丸」 がハワイ州オアフ島から奇跡の帰還を果たしました。
そこには、たくさんの人たちの国を超えた、行動がありました。
船は今、「震災遺構」 として波板の海の見える場所に置かれ、「物言わぬ語り部」 として震災の教訓を伝えています。
歴史的にも珍しい貴重な出来事だけに、多くの子どもたちの記憶にも残してもらいたい、というの思いから
「帰ってきた小船」 と題して、伊藤浩さんが童話風に再現しました。石川かおりさんの絵も、とてもステキです。
三陸河北新報社の 「石巻かほく」 に掲載された作品を、蓬田さんが紹介してくれました。
お客様から、「忘れてはいけないこと、語り継いでいきたいことが、たくさんありますね」 という感想が寄せられました。
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② 小川 未明 作 「島の暮れ方の話」 (朗読:佐藤 洋子さん)
「赤い蝋燭と人魚」 や 「のばら」 などで知られる 「小川未明」
「日本のアンデルセン」 「日本児童文学の父」 と言われています。
早春のたそがれ時、南方の暖かい島で旅人が出会った 「美しい女」
その女は、旅人に道を教えると、花の咲く細道を、波の音の聞こえる山のすそへとゆきました。
次の日、女が立っていた家の門に行ってみると、そこには・・・・・
今回は、佐藤さんが 「小川未明の世界」 を、穏やかに表現してくれました。
佐藤さんの優しい声が、作品にぴったりで、お客様も喜んでくださいました。
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③ 角田 光代 作 「口紅のとき」 より 「18歳」 (朗読:三浦 由子さん)
この作品は、人生の折々に登場する一本の 「口紅」 を通して、一人の女性の 「生き方」 を描いた 「短編小説」 です。
昨年のステージ・アップの朗読会で、ダイジェスト版を朗読したところ、好評を頂いたもので、
それを受けて今年は、朗読メンバー8人で、全編をお届けすることになりました。
12月の公演に先駆けて、今回読ませて頂いたのは、
高校の卒業式の日に、同級生の彼氏から 「1本の口紅」 をプレゼントされる 「18歳」
10分ほどの短編ではありますが、作者の角田光代さんは、言葉の端々まで世界を構築していて、
初恋の切なさを描いた 「18歳」 は、何回読んでも飽きることがない・・・という三浦さん。
本をさらりと読んだだけ以上のものを 「朗読」 は伝えることができるのではないかと、
その可能性にワクワクしながら読んでくれました。
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④ 角田 光代 作 「口紅のとき」 より 「47歳」 (朗読:渡部 敦子さん)
続いては、同じく 「口紅のとき」 から、17歳の娘の誕生日に 「口紅」 を贈る 「47歳」 の母親
渡部さんの 「娘さん」 が年頃になった時、この作品と同じような気持ちになったことがあったそうで、
母親の娘への 「愛情が感じられる朗読」 に、お客様から優しい拍手が送られました。
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⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」 (朗読:全員で)
「太陽がのぼること」 で始まるこの詩は、
「当たり前に思えてしまうこと その一つ一つが 本当は奇跡」 という内容で、
ステージ・アップの朗読会でいつも最後に、参加者全員で読んでいる詩です。
「杜の音」 でも、いつも結びに全員で、音楽にのせて読みます。
「この詩のコピーを部屋の壁に貼っています」 という方もいて、
「毎回この詩を朗読するのが楽しみです」 とおっしゃって下さいました。
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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、
「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」
「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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