朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H30年3月号)

  
長野淳子 [posted:2018.03.30]

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
3月は、以下の3作品を朗読しました。


① 藤沢 周平 :作 「時雨みち」 より 「山桜」
② 川村 たかし :作 ・石倉 欣二 :絵 「酒呑童子」
③ 向田 邦子 :作 「霊長類ヒト科動物図鑑」 より 「新聞紙」


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① 藤沢 周平 :作 「時雨みち」 より 「山桜」   (朗読:三浦 由子さん・宮崎 幾野さん)


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海坂藩の下級武士の娘 野江 は、前の夫に病気で先立たれ、磯村庄左衛門と再婚していた。
叔母の墓参りの帰りに、磯村との縁談がある以前に縁談の申込があった、剣術の名手、手塚弥一郎 と偶然出会う。

それは、山桜 が 満開のころであった。


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そのころ、凶作が続き藩の財政が危ういのに乗じて、重臣 諏訪平右衛門は私腹を肥やしていた。
藩内の不満や百姓の申し立ても諏訪は握りつぶし、これを知った手塚は、城中で諏訪を襲い殺傷する。

磯村と離縁した野江は、手塚が許される日を祈りながら、手塚の母とともに待ち続けるのであった。

それも、山桜 が 満開のころであった。


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行く先を見つけたことの喜び、行かなかったことへの悔い、さらに自分を受け入れてくれたことへの感謝。


ここが私の来る家だったのだ。この家が、そうだったのだ。


一瞬で溢れ出た感情の波が、この一行に集約されているように思います。
明るい希望が感じられる終わり方に、思わず知らず目が潤みます。


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今回は、三浦さんと宮崎さんが二人で、読み分けてくれました。(衣装も表紙も、桜色でした)
20分を超える長編でしたが、杜の音の皆さんも、じっくりと 「藤沢ワールド」 に浸って下さったようでした。


★宮崎さんの感想

今回は長い作品に挑戦しました。
きいてくださる方が飽きないよう、読み手ふたりで分担を考え、わかりやすい読みを心がけたつもりです。
当日桜はまだ開いていませんでしたが、ぽかぽかと暖かい陽射しの中でお聞きいただけ嬉しく思います。


★三浦さんの感想

藤沢周平の「山桜」は情景が美しく、主人公を応援したくなるような短編です。
読むと20分はかかるので、年が近くベテランの宮崎さんにお願いし、二人で読むことにしました。初めての挑戦でした。


作品の縮め方、朗読用の言葉の選び方、読む部分の担当、読み方について等、
実に多くのことを一つひとつ二人で相談しながら進めました。
中でも読み方については、聴く側にとってはどう聴こえるのか、お互いに何回も録音を聴きながら、
読み方を探りあてて行くという、今までにない大変さを経験しました。


お忙しい宮崎さんには本当に申し訳ありませんでしたが、非常に学ぶことが多く、またとても楽しい時間でもありました。
約一週間前にリビング朗読講座の最終回で作品を発表しましたが、その時の反省を踏まえ、
杜の音さんでの本番は自分たちにとっては満足いく読みになりました。
二人でやりきった、挑戦して良かったと本当に嬉しかったです。


先生には2月と3月に計二回、4時間に渡ってレッスンいただき、作品の理解をさらに深めていただきました。
読みの分担について大きな示唆をいただき、表現についても実際に読みをお聴かせいただき、
大変勉強になりました。ありがとうございました。
また、長い作品を集中して聴いてくださった杜の音の皆さん、本当にありがとうございました。


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② 川村 たかし :作 ・石倉 欣二 :絵 「酒呑童子」  (朗読:田中 憲子さん)


酒呑童子.jpg


むかし、丹波の国の大江山に 「酒呑童子」 とよばれる、恐ろしい鬼がいた。
あるとき、酒呑童子が都で娘たちを誘拐したことから、帝は六人の強者に鬼退治を命じた・・・という 『御伽草子』 の物語。


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悪さをする、酒呑童子を退治すべく立ち上がった、6人のつわものたち。


・大将は、源頼光 (みなもとのよりみつ)
・三百人力とうわさのたかい 渡辺綱 (わたなべのつな)
・鳥や動物のことばがわかる 坂田金時 (さかたのきんとき)
・水が平気の 藤原保昌 (ふじわらのやすまさ)
・火を使う 碓井貞光 (うすいのさだみつ)
・うらないの名人 卜部季武 (うらべのすえたけ)


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一方鬼の方も、酒呑童子 のほかに 茨木童子、石熊童子、虎童子、黒金童子 と、手ごわい鬼ばかり。

酒呑童子はその名の表す通り、酒が好物
そこで、源頼光を大将とする六人は、道に迷った山伏のふりをして 「鬼が城」 に潜入し、
「不思議な酒」 を飲ませて、鬼たちを討ち果たそうと計画します。


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この絵本には作者の川村さんが創り出した 「フクロウ」 が登場します。
酒呑童子の髪の毛の間に一羽のフクロウがいて 「この山伏たちは怪しい」 としきりに警告するのです。
このフクロウが鬼の片腕となって働くので、戦いのドキドキハラハラ感が倍増されます。


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今回は、三浦さんに絵本を持ってもらい、
田中さんが、6人のつわものたちと、手ごわい鬼たちの戦いぶりを、迫力たっぷりに表現してくれました。
杜の音の皆さんも、手に汗握って聞き入ってくれました。


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③ 向田 邦子 :作 「霊長類ヒト科動物図鑑」 より 「新聞紙」   (朗読:長野 淳子)


霊長類ヒト科動物.jpg 向田さん①.jpeg


新聞の勧誘を断るのが苦手で、気が付けば11紙も取っていたという向田さん。
その 「新聞」 を、向田さんは三つに区分します。


配達され、未読の状態から番組欄を見るため手元に置く 「新聞 」 (しんぶん)
日付が変わると 「新聞紙」 (しんぶんし) になり、包装紙やティッシュの役割
さらに三日も過ぎると 「新聞紙」 (しんぶんがみ) になり、靴の湿り気取りに活躍した。

 
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向田さんのエッセイは、現代にも 「あるある!」 と思えてしまう日常のエピソードや、鋭い意見があって、
古臭さを全く感ずることなく楽しんで読むことが出来ます。
杜の音の皆さんは、向田さんと同世代の方が多いので、いつも熱心に耳を傾けて下さいます。


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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


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