朗読ボランティア 「杜の音通信」 (9月号) 

  
朗読メンバーブログ [posted:2015.09.20]

 
  
昨年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
9月は、以下の4作品を朗読しました。

① 松谷 みよ子 文 「ぼくとわたしのみんわ絵本」 より 「ねずみのくれたふくべっこ」
② 瀬戸内 寂聴 訳 「今昔物語」 より 「平中をだました女」
③ 向田 邦子 作  「無名仮名人名簿」 より 「殴る蹴る」
④ 矢野 竜弘 作  「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」


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① 松谷 みよ子 文 「ぼくとわたしのみんわ絵本」 より 「ねずみのくれたふくべっこ」


「鶴の恩返し」 「きつねの恩返し」 など、民話の中で 「恩返し」 の話は多いもののひとつです。
その中でこの作品は、よくある 「恩返し」 の話とは、少々趣きが違います。


ねずみを助けた爺様が、お礼にもらった 「ふくべっこ」 (ひょうたん) の中に 「ぺろっ」 と入って
ねずみから飲めや歌えの歓待を受ける・・・と、ここまではいわゆる 「民話」 の世界ですが、
作者は更に、そこに 「人生の苦み」 のようなものを、ちらっとにじませます。


そして、最後に訪れる、人間の自然に対する 「原罪」 ともいうべき場面。
大人には少々胸の痛いラストシーンは、「浦島太郎」 に近いものがあります。
「可愛いねずみの話」 と思って読んでみたら、なかなかどうして 「奥の深い作品」 でした。


今回は、「民話」 や 「童話」 が得意な田中さんが、一人読みを担当。
絵本を皆さんに見せるのは、私長野が分担しました。


作品に登場する 「おばあさん」 「おじいさん」 「ねずみたち」 それぞれがちゃんと動いていて、
躍動感のある読みだったと思います。お客様も楽しんで下さったようでした。

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② 瀬戸内 寂聴 訳 「今昔物語」 より 「平中をだました女」


「今は昔」 に始まり 「・・・となん語り伝えるとや」 という結び方で統一される 「今昔物語」 は、
平安朝の末期に編纂されたと言われています。


これよりおよそ100年前に書かれた 「源氏物語」 が、
作者紫式部の生活の場であった 「宮廷」 や 「貴族社会」 を舞台とし、
登場人物も 「貴族階級」 の人々や、それに仕える者たちであったのに対し、
この 「今昔物語」 は、舞台も都以外の遠い地方に広がり 「庶民の生活」 がリアルにいきいきと描かれています。


今回は、瀬戸内寂聴さんの訳で、天下の色事師を焦がれ死にさせた、氷のような美女の話
「平中をだました女」 を、木村さんの一人読みでお届けしました。


憧れの女性に何度言い寄っても 「ソデ」 にされ続ける主人公 「平中」 が、
女性の汚物が入った 「おまる」 を奪うくだりは、現代の 「ストーカー」 そのもの。


いまから900年以上も前に書かれた作品が、現代にもそのまま当てはまるところを見るにつけ
「今も昔も同じ」 ということを感じさせられます。まさしく 「今昔物語」 ですね。


「古典」 や 「純文学」 などを得意とする木村さんの読みはさすがで、
自分の中に作品がしっかりと入っていることがよくわかる、「説得力のある」 読みでした。
当然聞き手の皆さんにもわかりやすく伝わったようで、「面白かった」 という感想をたくさん頂きました。


杜の音 9月 木村さん.jpg

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③ 向田 邦子 作  「無名仮名人名簿」 より 「殴る蹴る」


向田邦子さんは、機械の類はあまり得意ではなかったようで、
故障したり、動かなくなったりすると、思わず叩いてしまったとか。
物事に動じないクールなイメージの向田さんの 「意外な一面」 をのぞかせるエッセイです。


「人間は少しずつ、目に見えない勢いで、じりじりと機械に押されている。
だから、機械が故障したり間違えたりすると、ブン殴りながら少しほっとする。
私たちは、機械を憎み、愛し、信用して、「人」 としてつきあっているところがある。
ただし、新しい機械を創り出すのは、どんな時でも機械を殴らない男たちである」

人間が創り出した 「ロボット」 の知能が、今目覚ましい勢いで発達をしているとか。
その内に、人間がロボットたちに支配される日が来るのではないか・・・
そんな私の危惧を、向田さんは30年も前にすでに言っているような気がします。


30年以上の年月が経っても、決して古びない向田さんの作品。

いつ読んでも、今読んだ気がする。そしてその都度新たな発見をする。

私が、向田さんの作品から離れられない理由は、恐らくその辺りにあると思います。

「向田さんの作品は、自分も好きで読んできたけれど、
声に出して読むことの楽しさを、改めて教えて頂いたような気がします。
イメージがはっきりと浮かんできました」
(お客様から頂いた嬉しい感想です)

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④ 矢野 竜弘 作  「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」


「太陽がのぼること」 で始まるこの詩は、
「当たり前に思えること そのひとつひとつが 本当は奇跡」 という言葉で結ばれています。
ステージ・アップの朗読会でいつも最後に、参加者全員で読んでいる詩です。


「杜の音」 でも、いつも結びに全員で、音楽にのせて読みます。
「この詩のコピーを部屋の壁に貼っています」 という方もいて、
「毎回この詩を朗読するのが楽しみです」 とおっしゃって頂きました。

毎回、「作品選び」 に始まって、登場人物の 「配役」「BGM」 など、
「読む人」 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」
「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


杜の音 9月 3人で.jpg

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