朗読ボランティア 「杜の音通信」 (令和2年3月号)

  
長野淳子 [posted:2020.03.30]

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」


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66回目 を迎えた令和2年3月は、以下の4作品を朗読しました。


① 大橋 鎭子 : 作 「すてきなあなたに5」 より 「花ことば」
② 計良 ふき子 : 作 ・ 飯野 和好 : 絵 「つきごはん」
③ 向田 邦子 : 作 「父の詫び状」 より 「ごはん」
④ 川端 康成 : 作 「掌の小説」 より 「雪隠成仏」


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① 大橋 鎭子 : 作 「すてきなあなたに5」 より 「花ことば」  (朗読 : 長野 淳子)


大橋鎭子さん は、生活情報誌 「暮らしの手帖」 の創刊者として長年活躍された方で、
NHK の連続テレビ小説 「とと姉ちゃん」 でもおなじみになりました。


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私が大橋さんのエッセイに出会ったのは、今から30年近く前、
当時、初めて担当したラジオ番組の生放送で、オープニングの1分間のフリートークを考える時に、
季節の話題や日常の出来事への目のむけ方などを、この 「すてきなあなたに」 から、たくさん学ばせて頂きました。


大橋さんの、物事に対する優しく温かい眼差しが、私は大好きでこれまで、朗読会などでもその作品を読ませて頂きました。
現在も、毎週水曜日に ラジオ3 で放送している番組 「長野淳子のすてきなあなたに」 でも、朗読しています。


すてきなあなたに5.jpeg 大橋さん.jpeg


今回は、桜の季節 になると、必ず紹介するエッセイ 「花ことば」 を朗読しました。


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桜の花が咲きそうな気配をいう 「花もよい」
咲き乱れる桜の花の白さのために、夜でもあたりが明るく見えることをいう「花あかり」


桜が咲くころに突然にくる寒さをいった 「花冷え」
満開の桜を、遠見のかすみに見立てた 「花がすみ」


川面に散った桜の花びらが、連なって流れていくのを 「花いかだ」
花を散らせる強い風も 「花あらし」 といえば許せる気がします。


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むかしの人は、まわりを見まわして、ゆたかな自然を暮らしにとり入れ、美しさを見いだしながら過ごしてきました。
いまその知恵を、しみじみと感じています。


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② 計良 ふき子 : 作 ・ 飯野 和好 : 絵 「つきごはん」  (朗読 : 田中 憲子)


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「ちわこのよそったごはんが、いちばんうまい」

いつもそう言って、美味しそうにちわこがよそったご飯を食べていたお父ちゃん。


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農家の大黒柱だったお父ちゃんは、幼いちわこと家族を残して亡くなってしまいます。


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やがて冬が過ぎ、庭の雪が溶けてきた頃、おじいちゃんは芽を出しているお米を手に言います。

「おまえの父ちゃんがつくった米の赤ちゃんだ。家族みんなでそだてるんだ」


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そして、家族は毎月同じ日に僧侶を呼び、ごはんをふるまいます。これを作者は 「つきごはん」 とよびます。


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そして、新米の実るころ新しい命 がやってきて...。


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お父ちゃんにしたように、炊きたてをこんもり、たっぷりとよそう、ちわこのご飯の美味しそうなこと。


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昭和30年代の佐渡島の農家を舞台に語られるこの物語。
大切な人を失いながらも、それぞれが支えあって強く生きていく家族。


そして、みんなの心の中に、炊きたてのご飯の中に、今も生きているお父ちゃん。
湯気の立つごはんの絵。その向こう側に子どもたちは何を見るのでしょう。


飯野和好さんの描く家族の表情も、ずっと心に残ります。
悲しいだけでない、あたたかくて味わいのある絵本になっています。


今回は田中さんが、あたたかい家族の思いを、優しく語ってくれました。
杜の音の皆さんも、優しい眼差しで聞き入って下さいました。


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③ 向田 邦子 : 作 「父の詫び状」 より 「ごはん」  (朗読 : 長野 淳子)


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「ごはん」 に関する幼少期の思い出。それは、東京空襲 の後に食べた昼餐。
明日をも知れぬ命、人情味はあるが気難しい父親の下した命令は、ここぞとばかりの贅沢だった。
それは、 「白米のご飯」「さつまいもの天ぷら」


向田さんの家族写真.jpeg


「戦争」 「家族」

ふたつの言葉を結びつけると、私にはこの日の、みじめで滑稽な最後の昼餐が、
さつまいもの天ぷらが浮かんでくるのである。


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「甘い中に苦みがあり、しょっぱい涙の味がして、もうひとつ生き死ににかかわりのあった」

この昼餐を、向田さんは 「思い出のごはん」 と書いています。
杜の音の皆さんも、ご自身の戦争体験と重ね合わせながら、じっくりと耳を傾けて下さいました。


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④ 川端 康成 : 作 「掌の小説」 より 「雪隠成仏」  (朗読 : 長野 淳子)


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「雪隠成仏」 は、「花見のトイレ問題」 を題材にした作品で、
「貸トイレ」 でひと儲けしようとした夫に起こる事件を描いています。


「明治の文豪がこんな作品を書いていたの?」 とちょっと意外な感じのする短編で、
くすっと笑えて、ちょっと怖い落ちがついています。


朗読にあたって毎回考えるのは、作品の紹介の仕方。「落語のまくら」 のようなものです。
ちなみに、「雪隠成仏」 の紹介はこんな感じです。


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仙台にも、間もなく桜の 「開花宣言」 が出されます。
「開花宣言」 が出されれば、いよいよ 「お花見」 のシーズン到来。


残念ながら今年は、新型コロナウイルスの影響で、お花見も自粛モードですが、
例年桜の木の下では、毎日のようにブルーシートの 「陣取り合戦」 が繰り広げられます。


桜を愛でながら 「飲めや飲めやの大騒ぎ」 となれば、当然のことながら行きたくなるのは 「トイレ」
近頃は、簡易トイレが設置されているところも多くなっていますが、それでもどこのトイレも長蛇の列で、
モジモジしながら順番を待っている光景をよく目にします。


この 「お花見のトイレ問題」 は、どうやら今に始まったことではないようで、
明治の文豪、川端康成が、この 「花見のトイレ問題」 を題材に、面白い作品を書いています。
「川端康成」 といえば、「雪国」 や 「伊豆の踊子」 などで有名な、日本初のノーベル文学賞を受賞した作家ですね。


ちなみに 「トイレ」 は、実に様々な言い方がありますね。
皆さん、思いつくままに言ってみてください。(すると、次々と声が上がりました)


「WC」 「お手洗い」 「化粧室」 「お便所」 「御不浄」 「はばかり」 「厠」 「手水場」 そして 「雪隠」


そうです 「雪隠」 題名は 「雪隠成仏」
どうやら、「お手洗い」 で何やら事件が起こるようです。それでは、お届けしましょう。 川端康成作 「雪隠成仏」


今回は、皆さんから出た 「言葉」 をホワイトボードに書き出していきました。
耳で聞くだけでなく、目で見ることで、より楽しんで頂けたようです。


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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


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