朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H30年6月号)

  
長野淳子 [posted:2018.06.25]

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
6月は、以下の5作品を朗読しました。


① 長谷川 義史 :作 「いいから いいから 2」
② 佐野 洋子 :作 「だってだってのおばあさん」
③ 熊井 明子 :作 「私の部屋のポプリ」 より
④ 光原 百合 :作 「星月夜の夢がたり」 より 「大岡裁き」
⑤ 矢野 竜広 :作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」


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① 長谷川 義史 :作 「いいから いいから 2」   (朗読:八幡 靖子さん)


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おじいちゃんと温泉旅行にいった 『ぼく』 は夜、布団に入ると胸が苦しくなった。
なまあたたかい風がふいて、ヒュー、ドロドロドロ


『おっ、おっ、おばけ!』  目をあけると枕元でおばけが笑っていた。


あわてておじいちゃんを起こすと、おじいちゃんはいつものように
『いいからいいから』 と言って、おばけをもてなしだして......


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『うらめしやー』 というおばけに 『え、めし?おなかがすいているんですな』 と言ってみたり。
おばけにマッサージをはじめて 『足ももみましょうか。スペシャルコースで』 と言ってみたり。


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最後は一緒に温泉にはいり、ビールを飲みだすおじいちゃん。
今回もなんというか、ゆるーいかんじに思わず笑ってしまいます。


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おばけは翌朝消えてしまっていますが、
実はおじいちゃんについてきていて、お家に連れ帰ってしまいました。


でも、おじいさんはやっぱり言います。「いいからいいから」


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今回は八幡さんが絵を見せながら、おじいさんの天然のひょうきんさを、うまく表現してくれました。
杜の音の皆さんも、クスクス笑いながら、楽しんで下さったようです。


世の中、良くないこともたくさんありますが......
『いいからいいから』 と言われると、なんだか心が楽になりますよね!


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② 佐野 洋子 :作 「だってだってのおばあさん」  (朗読:田中 憲子さん)


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こちらは 「だってわたしはおばあさんだから」 が口ぐせのおばあさん。
一緒に暮らしている猫が、楽しい魚釣りに誘っても 「だってわたしは98だもの」 と言って行こうとしません。


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ところがおばあさんの99歳の誕生日。
ろうそくがたりなくて、おばあさんは5歳になりました。


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誕生日ケーキに立てるろうそくが5本しかなかったことで、いつの間にか、気分は5才!
川は平気で飛び越えちゃうし、魚つりは上手。身も心も若いこと、この上なし!


「だってわたしは5才だもの」


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どんな言葉を 「口癖」 にするかで、日常も変わる。
やはり 「言葉の力」 は、大きいのです。


「どうして、まえから5才にならなかったのかしら・・」 とおばあさん。


歳を言い訳にしないで、何でもやってみようと思う心が、人を若く保ってくれるのかもしれません。
コロリと人が変わったように活動的になるおばあさんの頭の柔軟さ、どうやらそれが、若返りの秘訣のようです。


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今回は猫が大好きな田中さんが、猫とおばあさんの声を使い分けて、表情豊かに読んでくれました。
杜の音の皆さんも、「私たちも負けていられないわ!」 と、ニコニコ頷きながら聞いて下さいました。


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③ 熊井 明子 :作 「私の部屋のポプリ」 より   (朗読:三浦 由子さん)


ポプリの研究家としても名高い熊井明子さんが、暮らしの中で感じるささやかな幸せや苦悩を柔らかく綴った名エッセイ。
エッセイといっても一編は一頁くらいの短いものなのでさくさく味わいながら読めます。


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たおやかで優しくて、日々を丁寧に自分らしく生きてゆくヒントの詰まったエッセイです。
夢見ることを忘れないで......と語りかける、著者の優しいまなざしに癒されます。


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★ジャム嫌いだった少女が、片思いの先輩からもらったひとかけらのジャムパンで、呪いが解けたという 「ジャムの呪いと祝福」
★年齢を単なる数にするか、それともカラットにするかは自分次第・・・という 「金剛石も磨かずば」
★目に余るやんちゃ坊主も見方を変えれば・・・・という 「やんちゃ坊主は 紳士の卵?」


今回は、以上の3編を、三浦さんが読んでくれました。
杜の音の皆さんも、目を細めながら聞き入って下さいました。


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★三浦さんの感想


熊井明子さんが約40年前に書いたこのエッセイ集は、一編一編が一頁の約半分とごく短い作品ばかり。
でも、その短さの中に、人生の中で香り立つような一瞬を、あざやかに切り取って見せてくれます。
ある日ふと思い出して、やさしい気持ちになれるような、まさにポプリのような素敵なエッセイです。


長野先生には 「作者になって読んで」 とご指導いただきました。
さらりとキレイに読むだけでは伝わらないんだ、エッセイは難しい、と今回は痛感しました。


また 「3つのエッセイ、それぞれに色を変えて」 というご注文にも驚きました。
当日は、ほほえんでにこやかに聴いてくださる方々に勇気づけられながら、読み進めましたが、
エッセイごとに色は違って聴こえましたかどうか...。


読み方もですが、作品選びの重要さを痛感しております。
自分が好きな作品でも、聴く方にとってはどうなのか...と、毎回作品選びに悩みますが、
それも楽しんでやろう!と思うこの頃です。今回もお聴きいただき、ありがとうございました。


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④ 光原 百合 :作 「星月夜の夢がたり」 より 「大岡裁き」   (朗読:長野 淳子)


遠い昔の思い出や、幼い頃に聞いたお伽噺、切ない恋の記憶......。
夢のかけらのような32篇の小さな物語を、ファンタジックなイラストで彩った本。
ミステリーの書き手としても注目される著者の、詩人、童話作家としての素顔の垣間見える作品集です。


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名奉行 大岡越前守のもとに、難題が持ち込まれた。
赤子をめぐって、二人の女が、どちらも自分の子だと言い張って譲らない。


両方から腕を引かれた赤子が大声で泣き出したとき、一方の女が手を離してしまった。
それを見た越前守は、手を離した方がまことの親だと裁きを下した。
さて、その後・・・・・。


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「大岡裁き」 のスピンオフのようなこの作品は、先頃東京で開催された 「朗読の日」 の公演でよんだもので、
今回杜の音の皆様にお聞きいただきました。皆さんストーリーをしっかりと追いながら、聞いて下さったようでした。


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⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」 (朗読:全員で)


「太陽がのぼること」 で始まるこの詩は、
「当たり前に思えてしまうこと その一つ一つが 本当は奇跡」 という内容で、
ステージ・アップの朗読会でいつも最後に、参加者全員で読んでいる詩です。


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「杜の音」 でも、いつも結びに全員で、音楽にのせて読みます。
「この詩のコピーを部屋の壁に貼っています」 という方もいて
「毎回この詩を朗読するのが楽しみです」 とおっしゃって下さいました。


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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


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