朗読ボランティア 「杜の音通信」 (令和元年5月号) 

  
長野淳子 [posted:2019.05.25]

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
令和元年5月は、以下の4作品を朗読しました。


① 小川 未明 原作/堀尾 青史 脚本/遠藤 てるよ 絵 紙芝居 「つきよとめがね」
② 森下 典子 作 「いとしいたべもの」 より 「おはぎのおもいで」
③ 光原 百合 作 「星月夜の夢がたり」 より 「大岡裁き」
④ 向田 邦子 作 「父の詫び状」 より 「身体髪膚」


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① 小川 未明 原作/堀尾 青史 脚本/遠藤 てるよ 絵 紙芝居 「つきよとめがね」   (朗読:堀 多佳子)


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月の美しい晩のこと。
おばあさんが街に住む孫娘のためにぬいものをしていると、不思議なめがね売りがやってきました。


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めがね売りのすすめるめがねをかけると、ぬいものはすらすらと進み、景色はいっそう美しく見えます。


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今度は指をけがした女の子が訪ねてきたので、薬をぬってやろうとめがねをかけると、女の子には蝶のはねがありました。
薬をつけてあげると、女の子はお礼を言って、月が照らす庭の花の中へと消えていきました。


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おばあさんと蝶の女の子が出会う、不思議で幻想的な一夜を描いたこの作品。
小川未明原作の味わいを生かしながら、ロングセラーを多数生み出した名脚本家・堀尾青史さんによるゆったりとした語り口と、
画家・遠藤てるよさんによる柔らかで鮮やかな絵があわさって、他にはない魅力的な世界を生み出しています。


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今回は、堀さんが小川未明の幻想的な世界を、優しく届けてくれました。
杜の音の皆さんも、ゆったりと聞き入って下さったようです。


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② 森下 典子 作 「いとしいたべもの」 より 「おはぎのおもいで」  (朗読:加藤 順子さん)


ひと口食べた瞬間、心の片隅に眠っていた懐かしい思い出が甦る・・・・・
だれもが覚えのある体験を、ユーモアと優しさに満ちた視点で描かれたエッセイ。


いとしいたべもの.jpg


子供の頃、私は正直、おはぎが苦手だった。
心から(ああ、おはぎが食べたい!)と、思ったことは一度もなかった。


おはぎ.jpg


雑誌の仕事で、映画の試写会に行った。
舞台は鹿児島。敗戦の色濃い昭和二十年の物語である。


日本人の誰もが、焼けつくような空腹を抱えていた時代。
この世にこれほどおいしいものがあるのかという幸せそうな顔で、二人の青年がおはぎをむさぼる。
この時代の人にとって 「おはぎ」 は、そういう食べ物だったのだ。


「おはぎが食べたい・・・」
私がそう思うようになったのは、この映画を観てからだ。
子供の頃は苦手だった 「おはぎ」 が、いましみじみとうまい。

   

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今回は、加藤さんが、作者の思いを丁寧に表現してくれました。
杜の音の皆さんも、ご自身の体験と重ね合わせて、じっくりと聴き入ってくれたようです。


☆加藤さんの感想

杜の音に伺うのは昨年暮れに続き2回目の事でした。
今回、読ませていただいたのは、森下典子さんの 「おはぎのおもいで」 というエッセイです。
自分では読後にとても感動したお話なのですが、皆様にどのくらいお届けできたのか、首をかしげるところです。

私の大きな大きな目標である長野先生の 「読むのではなく語る朗読」 という域にはまだまだ程遠いなと感じますが、
杜の音、又チャレンジさせて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。


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③ 光原 百合 作 「星月夜の夢がたり」 より 「大岡裁き」  (朗読:村山 和子さん)


遠い昔の思い出や、幼い頃に聞いたお伽噺、切ない恋の記憶......。
夢のかけらのような32篇の小さな物語を、ファンタジックなイラストで彩った本。
ミステリーの書き手としても注目される著者の、詩人、童話作家としての素顔の垣間見える作品集です。


星月夜の夢がたり.jpg


名奉行 大岡越前守のもとに、難題が持ち込まれた。
赤子をめぐって、二人の女が、どちらも自分の子だと言い張って譲らない。


両方から腕を引かれた赤子が大声で泣き出したとき、一方の女が手を離してしまった。
それを見た越前守は、手を離した方がまことの親だと裁きを下した。
さて、その後・・・・・。


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今回は 「大岡裁き」 のスピンオフのような作品を、村山さんが朗読しました。
「聞いていて、映像が浮かんだ」 という感想を頂きました。


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④ 向田 邦子 作 「父の詫び状」 より 「身体髪膚」   (朗読:長野 淳子)


父の詫び状.jpg 向田さんの家族写真.jpeg


「身体髪膚 之ヲ父母ニ受ク 敢テ毀傷セザルハ 孝ノ始メナリ」

これは、

「私たちの体は、髪の毛から皮膚に至るまで、すべてが父母から貰ったものである。
自分の身体を大事にすることが、親孝行の第一歩である」

という意味で、体に残る小さな傷を通しての、向田さんの家族への思いが温かい眼差しで描かれた作品です。


IMG_2418.jpg IMG_2420.jpg


読み終わった後、1人の女性の方が 「小さい頃の家族のことを思い出しちゃった」 といって、涙ぐんでいたのが印象的でした。
体に残る 「小さな傷痕」 は、当時のことを思い出す 「スイッチ」 のような気がします。


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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


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