「 わたしの宝物~ライブリーディング vol.8 ブーケ 」 (Kiyoko)

  
Kiyoko [posted:2020.01.10]

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12月8日㈰ ホテルメトロポリタン仙台において、ステージ・アップ主催の朗読会
「ライブリーディング vol.8 ブーケ」~言葉を心の窓にして~ が上演されました。


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12月のお忙しいなか、多くのお客様にお越しいただき、
皆さまに支えていただきながら上演することができましたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。


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今回私たち三人が朗読した作品は、「君へ。」~伝えたい気持ち三十七話~
この本は 「コミュニケーション」 をテーマに、 「伝えたい」 という気持ちを綴った、「ショートストーリー」 です。


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最初に、私 小笠原清子が、田口 ランディ 作 「モーニング・コール」
続いて、福山郁江さんが、藤沢 周 作 「教えない」
そして、吉田睦美さんが、重松 清 作 「朝日が向かっています」 を朗読しました。


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《モーニング・コール》


三ヵ月ほど前からだった。朝六時、電話の音で起こされる。
受話器を取ると、相手は何も言わない。


「もしもし・・・・・どなたですか?」


間の抜けたモシモシを繰り返し、そのうちに得体の知れない不安に襲われて
ためらいがちに受話器を置く。あとはもう、眠れない。


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沈黙の後ろからかすかに波の音が聞こえる。
勝手な思い込みだけれど、相手は女の人ではないかと直感した。


不思議ないたずら電話は、僕の生活にほんの少し変化をもたらした。
僕は、思い出していた。朝を。朝という現象が僕らにどんなに元気と勇気を与えるかを。


それから、電話は六月の最後の月曜日を境にぷつんとやんだ。
ほっとしたような、物足りないような、そんな気分の自分を発見して少し狼狽した。


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作品との出会いは、長野先生からいただく 「わたしの宝物」 となります。
作品との出会いから始まり、朗読会メンバーの仲間と思いをひとつにして、稽古の大切さや、
声にだして朗読できることの喜びと、朗読会参加という貴重な体験をさせていただく幸せを胸に、日々の稽古に励みました。


稽古中、なかなか思うように表現できずにいる私に、長野先生は、色々なアプローチから 「ヒント」 を下さいます。
今回も、長野先生からの 「今日のお言葉」 と題し、わたしの台本の余白には、稽古ごとにメモが増えていきました。

気づいたことや、作品の中の登場人物の気持ち、音や色、文章から読みとれる景色・・・などを書き込んだものです。
これも 「わたしの宝物」 となります。


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☆ ここは、このお話の中で特に大切な部分だから、もう少し温かさがほしいな~そうね体温のような温かさ、心の温かさですね
☆「もしもし・・・・どなたですか?」 直球でなく困った感じと、寝ぼけ声かなあ~
☆ 感情のゆらぎですよね
☆ 流さないで~そこはさらっと流さない! 流したらもったいない!
☆ 気持ちさえ理解できれば、書いていないものまでも聴いている方に伝わるのよ~
☆ 心の機微ですよ。振り子が振れるように揺れている時間なのよ
☆ 葛藤ですよ、精一杯思い迷っておこす行動
☆ おずおずとためらう様子で、電話をかけるんだから 「逡巡 」です
☆ 顔が見えない電話ですよ、
☆ 思いが伝わる...心が伝わる...心でつかむ ...
☆ 立体的に声と身体で、音楽ですね。自身の身体が楽器になるのよ!
☆ ここは大事に、大切にラッピングしてあげてください!


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見知らぬ若い女性から電話をもらったのは、七月の初めだった。


「そちらの電話番号、ずっと昔、祖母が慕っていた方と同じらしいんです」


彼女の話から、僕はようやく電話の相手を知った。
大磯海岸の養護老人ホーム。自分を二十歳だと思い込んでいた痴呆の老婦人。
婦人は、六月末に肺炎で他界したとのこと。


「あのひとは朝寝坊だから、起こしてあげなくちゃ、って。
晴れた日は早く目覚めて、お日さまの祝福をうけなくてはいけないって」


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「そうだった。あの電話はとびきりの快晴の朝に必ずかかってきたんだ」


☆この 「そうだった」 は、大事だから丁寧に! 種明かしされて、はっと気づく瞬間。
☆深いところで腑に落ちる。その感情がそのままに声になる。すべてがわかった瞬間です。
☆「そうだった」 を、ひき息ぐらいの声で驚きと納得と、やっとつながった~ やっと腑におちた彼の感動を読みといてゆく。
☆始めは 「点」 でしかなかったことが、いつしか点と点が結びついて 「線」 になり、その線と線が繋がって 「面」 になる。


「見知らぬ人の悲しみなのに伝わるものだ。それが心の力だろうか」


☆ハートですハート、大事に扱うこと。心が感動しているのよ
☆電話の相手がやっとわかったときあふれだす感情は、~彼の心を動かすほどの力~ それこそが 『人の心の力』 なのですね。
☆文章で直接表現されていない、作者の本当の気持ちや意向を感じとること、想像して行間を読むこと。


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僕も婦人を思い無言で祈った。


「起こしてくれて、ありがとう。

この美しい世界に目覚めさせてくれて、ありがとう。

モーニング・コールをありがとう」


このように長野先生は、迷っているわたしに朗読のヒントをくださいます。
そこから導きだされていく 「表現の力」「想像の力」 「わたしの宝物」 となるのです。
今回は 「心の力」 も プラスしていただきました。ありがとうございました。


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《君へ......》の3作品を深く読み込んでいくうちに、私たち三人は温かくやわらかい真綿につつまれるような優しい気持ちになることができました。
お聴き頂いた皆さまにも、ほっと心が温まる、物語の世界観をお届けできましたなら嬉しく思います。


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今回も最後まで、温かい眼差しで見守って下さったお客様に、心から感謝します。


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また、細やかな気くばりと心くばりでお客様をおもてなし下さいました、ステージ・アップの先輩はじめ、
チームワーク力で、いきピッタリのホテルスタッフの皆さま、そして長野先生、本当にありがとうございます。
これからも、様々な作品にチャレンジしていきたいと思います。(小笠原清子)


お越し頂いたお客様の感想は、こちら
https://www.stage-up.info/voice/cat25/vol128.php