朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H29年7月号)

  
長野淳子 [posted:2017.07.30]

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
7月は、以下の5作品を朗読しました。


① 堀尾 青史:作・丸木 俊:絵 紙芝居 「天人のはごろも」
② あまん きみこ 作 「おかあさんの目」
③ 桂 文我:作・長谷川 義史:絵 紙芝居 「うなぎにきいて」
④ 藤沢 周平 作 「驟り雨」
⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」


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① 堀尾 青史 作・丸木 俊 絵 紙芝居 「天人のはごろも」   (朗読:堀 多佳子さん)


天人のはごろも①.jpg


天人が水浴びしているところで、羽衣を取ってしまった総助。
はごろもは知人の権兵衛を通して呉服屋へ、お城の殿様へと渡って行きます。


天人のはごろも②.jpg


1961年に出された丸木 俊さんの初期の作品。
広島原爆、沖縄の戦闘、水俣...など、丸木さんの作品には社会を見つめる鋭い眼を感じますが、
そうした中でこんな作品もあったのだと意外な発見です。


DSC_1351.JPG DSC_1357.JPG


今回 「紙芝居」 初挑戦の堀さんが、天人の浮世離れした雰囲気をうまく表現して読んでくれました。
小心者の総助と、決して総助を恨まない優しい心の天人の、なんとも言えない雰囲気を、皆さん楽しそうに聞いて下さいました。


★堀さんの感想
今回は、初めての 「紙芝居」 とても楽しく読ませていただきました。
演じている時、何度か 『あれ!変なアクセントになったかな?』 とドキッとする場面もありましたが、
自分の声や読みを冷静に聞き取っている自分を感じて、練習した成果かなぁと思いました。
会場では、皆さんが紙芝居の世界を楽しんで下さってるのが感じられ、ますます登場人物になりきって、
とても気持ち良く読ませていただきました。本当に楽しい時間でした。
今度は違うジャンルにもチャレンジしてみたいとも思いました。


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② あまん きみこ 作 「おかあさんの目」  (朗読:小笠原 清子さん)


おかあさんの目.jpg
お母さんのひざに抱かれてお話をしていたら、お母さんの目の中に私がいるのが見えました。
さらにじっと見ていると、みどりの重なりや海など、映るはずのない風景が見えてきます。
それは、お母さんの心に焼き付いた、美しい景色だったのです。


「うつくしいものに出会ったら、いっしょうけんめい見つめなさい」 というお母さんの言葉が胸を打ちます。


ひざの上で、うんと近づいて話をしたからこそ見ることができた 「瞳の中の世界」
遠い昔のことを思い出させてくれる、柔らかい一冊です。


小笠原さん.jpg DSC_1361.JPG


ふくよかで優しさにみちた 「あまんきみこの世界」 に、くろい けんさんの詩情ゆたかな挿絵がぴったりの絵本を、
今回は、小笠原さんが、親娘の会話を優しい眼差しで読んでくれました。皆さんも微笑みながら聞いて下さいました。


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③ 桂 文我 作・長谷川 義史 絵 紙芝居 「うなぎにきいて」   (朗読:八幡 靖子さん)


うなぎにきいて①.jpg


きろくとせいはちはうなぎを食べにいきましたが、
料理する人が休んでいたので主人に頼んでうなぎを料理してもらうと......。


うなぎにきいて②.jpg


うなぎの季節にピッタリの、とにかく読む人も聞く人も楽しい作品です。
桂 文我さんのコミカルな関西弁の文章と、子供たちに大人気の長谷川義史さんの絵は、
これ以上ないというほどマッチしていて、オチもたまらなくおもしろい作品です。


DSC_1356.JPG DSC_1362.JPG


うなぎのニュルニュルした感じを、今回は八幡さんがお得意の関西弁で、登場人物になりきって実に楽しく演じてくれました。
杜の音の皆さんも、声をあげて笑っていらっしゃいました。


★八幡さんの感想
お陰様で楽しく読ませて頂きました。
私としては 関西弁を誰はばかること無く、思い切り喋れたことが良かったです!これからもよろしくお願い致します!!


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④ 藤沢 周平 作 「驟り雨」   (朗読:三浦 由子さん)


はしり雨.jpg


激しい雨の中、一人の盗っ人が八幡さまの軒下に潜んで、通り向いの問屋の様子を窺っていた。
その眼の前へ、入れかわり立ちかわり雨やどりに来る人々。そして彼らが寸時、繰り広げる人間模様......。


DSC_1363.JPG 三浦さん.jpg


抗いきれない運命に翻弄されながらも江戸の町に懸命に生きる人々を、陰翳深く描iいた藤沢作品。
今回は、三浦さんが情緒豊かに表現してくれました。
杜の音の皆さんも、じっくりと聞き入って下さいました。


★三浦さんの感想
「はしり雨」 は、人生について考えさせられ読後感が良く、印象に残るお話だと思います。
全編通すと40分の作品ですが、今回は10分程度に編集して朗読しました。

レッスンでは、アクセントを含め、ダメ出しは沢山いただきましたが、一つ一つ直していくと、
前と全然違った読みになり、本当に文章が立ち上がる感じがしました。

長野先生に 「地の文の読み方が時代物に合っている」 とおっしゃっていただき、
当日は安心して、実に楽しく読むことが出来ました。長野先生のご指導が受けられ、本当に幸運に思います。

杜の音の皆さん、とても集中して聴いて下さり、ありがとうございました。
まだまだの読みと思いますが 「頑張って」 とのお声もかけていただき、励みになりました。
今後も一つ一つの作品を大切に読んで行きたいと思います。


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⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」 (朗読:全員で)


そこに日常があった。.jpg


「太陽がのぼること」 で始まるこの詩は、
「当たり前に思えてしまうこと その一つ一つが 本当は奇跡」 という内容で、
ステージ・アップの朗読会でいつも最後に、参加者全員で読んでいる詩です。


DSC_1366.JPG DSC_1367.JPG


「杜の音」 でも、いつも結びに全員で、音楽にのせて読みます。
「この詩のコピーを部屋の壁に貼っています」 という方もいて
「毎回この詩を朗読するのが楽しみです」 とおっしゃって下さいました。


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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


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