「港まつり」

暑い!暑い!今年の夏、その暑さを吹き飛ばすかの様に、全国各地で夏祭りが行なわれています。
私の地元でも8月1日と2日、64回目の 「港まつり」 が盛大に行なわれました。


震災後私は、ブライダルMCと共に、地元のケーブルテレビの市民アナウンサーとして、
街の話題をお伝えしておりますが、
昨年に続き、今年も二日目の祭りの実況中継を担当させて頂きました。


今まさに、目の前で繰り広げられる熱気と躍動感を、
テレビを通して自分の言葉でお届けするという重要な役目を仰せつかり、
そこには、ブライダルや様々な催しの司会をさせていただく場面とはまた違った緊張感がありました。


初日は街の大通りを会場に 「はまらいんや踊り」 が行なわれました。
「はまらいんや」 とは、気仙沼弁で 「さあ、一緒に仲間に入りましょう!」 という意味の言葉です。


地元の人は勿論、全国から踊り手が参加して(リピーターもいっぱい♡)
「ソレ、ソレ、ソーレ、はまらいんや!」 と元気いっぱいに声を発し、アップテンポのリズムに乗って、
各チームが特色有る振り付けやステップで心が一つになる様子は活気に溢れ、
踊り手や見物のお客様も皆、笑顔になります。


一日目の興奮を受け継ぎ、いよいよ二日目。
震災から五年ぶりに旧市街地コースの街頭パレードが行なわれ、
港町を会場に"打ちばやし大競演"と、船の台船にねぶたを設えた 「海上うんづら」 や、
鎮魂と復興の願いを込めた"海上打ち上 「花火」 のフィナーレへと続きました。


私は主に、この二日目の様子を、他局から応援を頂いているアナウンサーさん達と一緒に担当しました。


沿道のステージ前からテレビカメラのレンズに向かって、オープニングのご挨拶からのスタート。
一日目の様子や二日目の放送内容などを紹介し、直後に中継車に飛び乗り、いざライブ本番へ。


昨年は浴衣を着ての中継でしたが、今年は動き易いスタイルにしたので、
狭い空間でも身動きがスムーズでした。


さあ、いよいよ目の前で繰り広げられる祭りの模様を実況していきます。


280mの海岸沿いを舞台として、700基の大小様々な太鼓を叩く出演者。
笛の音と太鼓の音をバックに、勇壮な踊りを観せてくれる 「虎舞」


子供から大人まで世代を越えて無心に太鼓を叩く姿や、虎を先導する役を担った少年の凛々しい姿に、
地域に受け継がれてきた 「伝統芸能」 を守る人々の心意気を目の当たりにし、
「この臨場感を何としても、お伝えしなければ!」 という思いで胸が熱くなりました。


始めは声が上ずり、思うように喋ることが出来なかった私も、
先輩アナウンサーさんに導かれて、お祭りを実況中継しました。


一時ザッと雨が降りましたが、夕焼けからナイトブルーへと、空は刻々と変化してゆきます。
会場を明るく照らしてくれるサンマ船の明かりが何とも心強く、その向こうには 「海上うんづら」 が。


「うんづら」 とは 「運を連ねる」 という意味があり、男衆の 「どや節」 の掛け声と共に入港する船の姿は、
雄大で感動的です。
その勇姿を後押しするかのように流れる 「打ちばやし」 の響きが一瞬静まった瞬間、
見た事も無いような大輪の花が一輪、大空にドーンと咲きました。
陸と海と空の大競演の始まりです。


大自然を舞台にした壮大なミュージカルを観ている様な感動に包まれ、それは、まさに圧巻でした。


その様子と感動を、私はどれだけ言葉にして伝える事が出来たのだろう?


中継車の中で、どんどん切り替わる映像を観ながら、
その時その瞬間に、ジャストフィットした言葉を発したいと思ってはいても、
口を開いた途端、次の映像に写り変わっていたりします。
まだまだ及ばぬ自分の拙さを思い知り、更なる精進を誓わずにはいられませんでした。


イヤホンを片耳に、スイッチャーさんの指示を常に仰ぎながら、秒単位で進められるテレビの実況中継。
これほどの重要な場面に、昨年に続いて携わらせていただけるとは・・・。
様々な司会の場で生かせる貴重な経験をさせていただき、本当に有り難い気持ちでいっぱいでした。


ゲラン 8月.jpg

2015/08/09 及川 満奈美